▲2018年7月のNPOハロハロ活動報告会での、ボホール事業説明動画
【ボホール事業地】
対象地域:フィリピン ボホール州ヘタフェ市アルマー島
対象世帯:アルマー島に生活する約270世帯(約1,300名)
<事業地の人々の概況>
9割以上の島民が、1年を通した海藻栽培で生活をしている。
年に3回ほど海藻の収穫がありその販売で収入を得ています。
1日あたりにすると約80円程度の収入で生活しており、国際貧困線以下となる。
島の人々の貧困問題解決に向け、複雑に絡み合う環境などの課題にも相互にアプローチする活動を行なっている。
<<ボホール事業地の課題>>
海藻栽培で生活する人々が日に日に困窮している状態
島ぐるみで、海の豊かさを取り戻す活動を行なっていく
<<<ボホール事業地の長期ゴール>>>
3Rの促進とコンポストの実践から、人々が健康で安全に生活できる沿岸部環境をつくる
<<<活動の概要>>>
環境美化と地域緑化、ごみの削減、コンポストの3アクションから、3Rの促進とコンポストの実践を行う
過去の取り組み
▶︎ 海藻農家組合のスタートアップを支援、人材の育成/研修や組織基盤強化を支援
2017年 Alumar Seaweed Farmers Association 立ち上げ(アジア生協基金2017〜2019)
キャパシティビルディングなども行いながら、地域の人々が、
「ブレーン(意見/アイディア)」と「活動(ボランティア活動含む)」を共有して成果をわかちあえる
透明なグループづくり。行政や地域の他団体とも連携していくことでリソースを増やしていく。
▶︎ 住民組合を主体にした、地域開発事業を組み立て
地域課題分析から実施
大きな課題「豊かなアルマー島」に向けて、貧困、環境、教育問題にどうアプローチしていくか
一歩ずつの未来への地図を描き始めた。
320,520本
マングローブの植樹保全数のべ(2023)
105人
組合員メンバーの数(2024)
3,000人
取り組み参加者数のべ
海藻組合メンバー数 |
105名 *2023年8月NGO登記 |
マングローブ植樹数(2017〜2023) |
のべ320,520本 (うちBAKHAW種318,000本 PAGATPAT種2,520本) *弊団体との協働で植樹した本数のみ。現地団体のみでも植樹活動を実施しており、100,000本/年の植樹保全が目標値 |
活動への参加者数 | のべ 3,000人 |
生物多様性 |
・近海に目視で新たな生物が確認できるように変わってきている ・BAKHAW種マングローブだけが生育していた島だったが、PAGATPAT種の生育と定着に挑戦中 |
Alumar Seaweed Farmers Association 代表 ロルダン・サラバオ
1976年7月セブ州マンダウエ市生まれ。通関業務理学士号取得。コミュニティオーガナイザーとして8年、ヘタフェ市の海洋検査官として2年勤務。アルマー村役場を20年業務サポート。
2016年2月28日朝、自分の家が火事で半壊し絶望したとき、近所の人が部屋を用意し食事を分けてくれた経験から、持たざる人々も助け合う大切さに改めて気づいたことが彼自身のその後の活動に大きな影響を与える。
アルマー島民は十分な資金もなく年3回しか収穫のない海藻栽培に頼って日々を生き抜いていた。
そんな2016年8月、日本人大学生(当時)の海宝慎太郎さんが過去大学プロジェクト対象地域だったアルマーを訪れ、未来への想いを共有したことで、海藻栽培に関わる人々の貧困削減と地域の発展のための、Alumar Seaweed Farmers Associationの立ち上げにつながった。海宝さんとの友情を通して、なんの見返りもなく、「ただ誰かのために」と強く願う日本人の思いに触れることができた。
その後、海宝くんがNPOハロハロのインターンとなり、アルマーを事業地として、アジア生協による組合の立ち上げ、TOTO水環境基金によるマングローブ植樹保全活動の拡充、そしてイオン環境基金による生物多様性などの多様な助成事業を行なっていく中で、地域の人々の生活が向上していく成果を感じられたことはもちろん、自分自身のリーダーシップ能力の強化を感じることができている。
1-1:海藻栽培の活性化
マイクロファイナンスの導入、組合による資材の共同購入
1-2:副業支援
養殖事業、あみ漁、裁縫事業
2-1:教育支援
・学習センター(IT支援)
2-2:体験型の環境教育
子どもから大人まで全ての島民を対象に、人々の生活と直結する海と陸の豊かさをともにつくる実践型教室
・地域清掃活動
・マングローブ植樹/保全
・ごみの分別/処理
・コンポストによるごみの活用
・地域菜園
3-1:本島とアルマー島の渡し舟(客舟)
3-2:共同井戸 / 水場の設置
国際貧困ラインを大幅に下回る生活から抜け出すには、「海藻栽培の【量】を増やすこと」。そして仲買人に頼らない、地域の組合として海藻の総数を直接マーケットに販売していく仕組みを作ること。
今までは資金がないことで、毎年海藻の種付けのためにローンで借りたお金で30〜50列/世帯の海藻を栽培していくことが精一杯だった地域の人々。
1世帯あたり100列の海藻栽培ができるようになり、収入が安定することを目指しています。
海藻の苗をいきなり100列に増やすことはできなくとも、3年かけて少しずつ海藻の種付けに投資する資金を増やしていける地域の中での少額資金融資の取り組みを始めました。
運営主体は地域の住民グループになります。
3年かけて信頼と信用を重ね、世帯の海藻栽培数を増やしつつ、他の世帯も参加できる規模に資金を増やしていくことを目指しています。
2017年参加世帯数:30、2018年参加世帯数:40、2019年参加世帯数:50、2020年参加世帯数:50、2021年参加世帯数:75、2022年参加世帯数:135
2-1:教育(学習センターによるIT支援)
中学/高校は外の島に行くことになる子どもたち。できれば大学まで進み水産業に関わる専門性を身につけて地域に帰ってきてほしい。小・中・高・大学生たちが、学校のオンライン授業や、課題提出、リサーチなどに利用できるよう、ASFA事務所に数台のパソコンとプリンター、インターネット環境を整備して開放しています。
スタディツアーを通して、日本人とフィリピン人の相互交流を行い、ローカルな地域に密着して貧困問題への理解を深めるだけでなく、ともに学び考える時間を多く設けて、社会参加への一歩をともにしています。
地域の住民組織を活性化し、行政や公立学校、他のNGOや宗教法人など地域社会内での連携をつなぎ、
より効果的で継続的な事業運営を担える団体として成長を促進する支援を行っています。
人々のリーダーシップ研修や組織運営研修の設定などを共に行いながら、住民と組織の能力向上を図っています。
2-2:環境
海藻が安定して収穫できる【豊かな海】を作るため、島ぐるみでの水陸の環境保全活動に挑戦しています。
・マングローブの森づくり
風雨を和らげ、水の洗浄効果、さらに生物多様性を導く役割も果たすマングローブで、島のぐるりを囲む様に森をつくる(毎年10万本植樹保全する)ことが目標。近隣の島や養殖池から排出される工業廃水が課題になっており、行政へのロビーイングもしています。たくさんの生き物がいる豊かな海を創出し、水産漁業を活性化していきます。
ボホール地域でも有数の海藻栽培数を誇るため、海藻とマングローブが大きな環境資源となり、エコツアースポットとして、交流も促進していきます。
・地域の清掃活動およびごみの分別/回収/処理
島内や近隣初頭からの生活ごみが海藻にひっかかってだめになってしまう
→ 「住民と行政の双方向から、生活ゴミの処理の大切さを訴え、ごみ拾い活動もみんなでしていこう」
1)生活ゴミの分別回収と処理システムの構築(住民レベルと行政レベル両方)
・島内および沿岸部で、定期的にごみ拾い活動を実施
・各家庭からのごみの分別回収ができるよう、ごみ分別集積所を3~5世帯に1つ設置
・ごみの最終投棄(埋め立て地への運搬)
島内には「ごみの最終処分場」がなく、舟で30分程度かかるボホール本島のヘタフェ市より、さらに車で30分以上かかるヘタフェ市の管理運営する最終処分場への運搬が必要になります。
この運搬について、ヘタフェの港まで舟で運搬ができれば、港から先はヘタフェ市が車両で運搬してくれることは明確になったのですが、アルマー島からヘタフェの港までの舟の運搬にかかる運搬にかかる経費(舟の運行費、運搬にかかる人件費など)の負担がアルマー村では予算がないことが課題です。
舟での運搬システムを行政と交渉しながら、トライアルをはじめています。
2016年 | ボホール州ヘタフェ市アルマー島の調査 |
2017年 |
海藻栽培を活性化するための組合づくりスタート (助成:アジア生協協力基金) Alumar Seaweed Farmers Association(ASFA)設立 |
2018年 |
海藻組合の強化(助成:アジア生協協力基金) マングローブ植樹保全や清掃活動から、島民みんなで【豊かな島】づくり(助成:TOTO水環境基金) ▶︎植樹保全本数:60,000本 |
2019年 |
海藻組合の強化(助成:アジア生協協力基金) マングローブ植樹保全や清掃活動から、島民みんなで【豊かな島】づくり(助成:TOTO水環境基金) ▶︎植樹保全本数:60,000本 |
2020年 |
マングローブの植樹保全や清掃活動から、島民みんなで【豊かな島】づくり(助成:TOTO水環境基金) ▶︎植樹保全本数:80,000本/年 ごみ回収量7914kg/年 人々とともに生きるマングローブの森(植樹保全による生物多様性のある島づくり)(助成:イオン環境基金) ▶︎植樹保全本数:BAKHAW種30,000本、PAGATPAT種520本 |
2021年 |
みんなで育てるマングローブの森(植樹保全による生物多様性のある島づくり)(助成:イオン環境基金) ▶︎植樹保全本数:BAKHAW種18,000本、PAGATPAT種2000本 MRF導入による、ごみの活用とコンポストの実践(助成:TOYO TIRE環境保護基金)
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2022年 |
島内外の人々と交流しともに育てるマングローブ(植樹保全による生物多様性のある島づくり)(助成:イオン環境基金) ▶︎植樹保全本数:20,000本 オンライン講座:1回 3Rの推進とコンポストの実践から、健康に生活できる環境づくり(助成:地球環境基金) ▶︎ごみ拾い活動、プラスチック削減活動、コンポスト |
2023年 |
大型台風から島⺠の命を守ったマングローブ林の復興(植樹保全による生物多様性のある島づくり)(助成:イオン環境基金) ▶︎植樹保全本数:30,000本 オンライン講座:1回 3Rの推進とコンポストの実践から、健康に生活できる環境づくり(助成:地球環境基金) ▶︎ごみ拾い活動、プラスチック削減活動、コンポスト |
2017年・2018年・2019年 アジア生協協力基金
2018年・2019年・2020年 TOTO水環境基金
2020年・2021年・2022年・2023年・2024年 イオン環境基金
2021年 TOYO TIRE 環境保護基金
2022・2023年 地球環境基金